コラム

口呼吸を鼻呼吸に変えるには?呼吸の違いが導く将来への影響

はじめに

普段、呼吸は無意識下で行われています。鼻がつまっていないことが前提となりますが、一旦、それを意識して試してみましょう。

当たり前のことと言われればその通りですが、改めてお付き合いいただきご確認ください。矯正治療に関するご理解の入り口になります。

キーワードは舌の位置です。舌は本来、上顎につく位置にあるのが健全な形です。ちょうど上の歯の内側のスペースにピタッと収まる感じになりますね。

目次

    口呼吸と鼻呼吸

    では試してみましょう。

    1. まず、舌はあえて上顎につけないで口呼吸…これは普通にできますね。少しの息苦しさを感じられる方もいるでしょうか?
    2. では次も、舌はあえて上顎につけないで(口は閉じてくださいね。)鼻呼吸…一応できますよね。こちらはちょっと息苦しいなと感じられた方も多いのではないでしょうか?口からの呼吸より給気量が少ないうえ、舌の位置が下がって、気道を少し狭くしているからです。これが無意識下ですと、口呼吸か鼻息の荒いような呼吸となります。空気は肺に入ってはじめて十分な呼吸量かどうか?となります。
    3. では逆に、舌は上顎につけた形で口呼吸…これはできませんよね。当然です。
    4. 最後に同じ形で鼻呼吸…普通にできますね。これが呼吸の健全な形です。

    整理してみますと、スムーズに鼻呼吸ができるのは、上顎に舌がつく場合のみです。もう一つ大切なのは、口呼吸となるときは必ず舌が下がってしまっているということです。

    矯正治療や歯並びなど歯科に関わること、そして鼻腔や気道など呼吸器・耳鼻に関わることをご理解いただく中で大切なことになるので改めてご確認ください。

    口呼吸からみえること

    「鼻呼吸は健全」で「口呼吸は要注意」とは広くいわれています。これは正しいお話しです。お口に関するトラブルの原因のかなりの割合が、この口呼吸に関係するといってもよいほどのことになります。では鼻呼吸と口呼吸では何が変わってくるのでしょうか?

    舌が上顎につく・つかないの違いは先ほどお試しいただきましたね。最も大切なポイントになります。ここまでで歯並びの話は出てきておりませんが、歯並びが悪くなる原因を考える中でも、舌が健全な位置にないことは重要な意味を持っています。

    鼻呼吸だと?

    こどもの矯正とランパセラピー

    顔の中心、中顔面といわれる部分は本来上前方(顔が立体的になる方向)へと成長するのが健全な形です。

    そのガイド役を担っているのが「上顎についている舌」となります。またこの舌は唇や頬からの力とのバランスをとり、歯並びの形成においても大切な役割があります。

    鼻呼吸だと、中顔面やお口が健全な成長をしやすくなります。

    口呼吸になると?

    逆に上顎に舌がつかないことによって、本来上前方であった中顔面の成長方向は、下方へと向かいます。口呼吸が改善しないまま、舌が上顎につかない状態が続くと、そのまま下方成長は進み、上顎骨はその影響によって歪みが生じ始め、歯並びが悪くなる大きな要因となります。

    同じ理由によって、鼻腔が狭まることで段々と鼻呼吸がしづらくなり、慢性的な鼻づまり等へ繋がります。さらに本来舌がつくべきスペースは狭くなり、口呼吸そのものも深刻化へと進みます。

    同時に口呼吸によって下がった舌は、空気の通り道、気道を狭くさせます。このことは次に、いびきや無呼吸、喘息の要因ともなります。

    こどもの矯正とランパセラピー
    こどもの矯正とランパセラピー

    ということは、口呼吸は本来人間の活動の中で、想定されていないイレギュラーな出来事なわけです。口呼吸がそう間違ったものでないならば、こんなにトラブルの原因にはならないように人間の設計図はできているはずですからね。

    ヒトに限らず、生物は本来の健全な形だったら、その仕組みはほんとによくできています。一方から見れば、一見些細とみえるエラーが大きなことへも繋がります。

    呼吸自体はできるんです。口呼吸は「一見些細な問題」と受け取られがちですが、QOLの低下に繋がる大きなトラブルの兆しであることを改めてご理解ください。

    pixta_71785599_S

    さて、ならば口呼吸は正さなくてはなりません。しかしです。お伝えしたように口呼吸は鼻腔を狭くさせます。

    「口呼吸はよくありませんよ、鼻で呼吸するように頑張りましょう。」などよく見かけられると思います。その通りなのですが、こうなると「頑張るって??」ですよね。

    「口を閉じなさい。」とこどもに伝えても、そうできない理由がすでにある場合も多いのです。

    口呼吸から鼻呼吸へ変化させるには?

    まだ乳幼児期で骨に柔軟性がある時期ならば、舌が上顎につくように、お口を上手に育てることへの取り組みができます。まだ修正が可能かもしれません。ここには治療とともに、日々の生活習慣の改善がフォーカスされてきます。当院の赤ちゃん歯科でもお手伝いいたします。

    しかし、下方成長が進み、ある程度まで骨が固まってしまった。その場合はすでに骨が歪み、舌を上顎につけられるスペース自体が足りなくなっているかもしれません。歯がきれいに生えないのも頷けますよね。

    そしてお伝えしたように、骨格の発達の問題によってすでに鼻がつまっている、もしくは鼻の通りが悪くて口呼吸となっている場合です。

    これらに対しては鼻腔の問題を解決してあげないと、鼻呼吸は無理なお話しです。この時点で歯並びを整えたって、鼻呼吸は物理的にできません。

    鼻づまりをはじめ、いびきや無呼吸などで耳鼻科に通院されているお子様も多いと思います。矯正治療の前にまず鼻の問題を耳鼻科にご相談くださいなどといわれても、耳鼻科の先生にしたってそう簡単なお話しではないですね。

    鼻腔1

    口呼吸であることの弊害は様々なところでいわれています。しかし、実際に口呼吸を鼻呼吸に変えることは、そう簡単なことではありません。

    鼻腔の問題を解決し、舌は上顎につくようにしてあげなくてはならないんですね。

    この鼻腔の問題の改善を、ランパセラピーでは骨格への直接的なアプローチを通して、明確な目的として目指しています。

    また本来あるべき、成長方向「上前方」も大切なキーワードになります。RAMPAのシステムによって、上前方へ成長させられるからこそ、より健全な形での成長を目指すことができるのです。

    口呼吸が鼻呼吸に変えられれば、骨格自体にはよい変化が起きています。あと少しの努力できれいな歯並びも見えてきます。元から正しています。後戻りの可能性も大幅に低くなります。

    RAMPA(ランパ)セラピーとは歯並びが悪くなる原因の根本的な解消を目指し、歯がきれいに生えるような土台に整え直そうという治療になります。

    当サイト内では治療に関する記述では「ランパセラピー」、器具・システムに関する記述では「RAMPA」と表記しております。

    ランパセラピーについて、まだ知らない方や先に知っておきたい方は下リンクからどうぞ。

    こどもと女性の歯科クリニックロゴ

    こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピーの5つのポイント

    • 1 舌が正しい位置に付かなくなってくるのは、主に赤ちゃん時代からの様々な生活習慣の積み重ね。特に近年は赤ちゃんの首周りの筋緊張による影響が大きい。
    • 2 歯並びの問題も含め、最重要ポイントになるのが「舌が正しい位置(上顎につく位置)にあること」、もしくは「きちんとした鼻呼吸が出来ること」
    • 3 ある程度の年齢に達し日常化したこどもの口呼吸を鼻呼吸に変えるには、すでに骨格的なアプローチが必要な段階になっている場合が多い。
    • 4 呼吸と歯並びの問題は密接な関係にあることの理解が必要。ランパセラピーの視点から見れば歯列の矯正だけで完結する問題は決して多くはない。
    • 5 矯正治療でまず考えるべき目的は「歯並びを整える」なのか?「歯がきれいに生え揃うお口に整える」なのか?

    当院では必要のない治療をおすすめすることはありません。

    当院・他院に限らず、ホームページ等で記載がされている、「〇〇の原因」や「〇〇を改善するためには?」などは最終的に一つの答えに収束するものではありません。クリニックごとの考えの優先度・重要度などにより記載が異なってまいります。実際には患者様それぞれに答えはいくつもございます。

    どの治療、どのクリニックを選ばれるかは矯正治療の入り口であり、最も大切なことです。ご選択にあたり、ご家庭の負担は大きいところと存じますが、お子様の将来に関わることとして今ひと時のリサーチをお願いいたします。その結果による「矯正治療に対するご判断」がご家庭ごとの答えと存じます。当院から精一杯お伝えさせていただくならば「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくございません。

    カテゴリー:

    SNSでシェアする

    運営者情報

    この記事を監修した人
    こどもと女性の歯科クリニック
    院長 岡井有子

    看護師として京都市内の産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。2017年、港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開院。プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。

    こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピー

    こどもと女性の歯科クリニック

    AM8:30〜13:00 PM14:00~18:00(最終受付 17:30)
    休診日:金曜・日曜日

    新着コラム