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一般的な小児矯正とランパセラピーの効果
その違いは顎の拡大方向
はじめに
例えば叢生(そうせい/ガタガタとした歯並び)は、主に歯がきれいに並ぶために必要なスペースが足りないことが原因といわれます。そのため、歯がいろいろな箇所や角度から無理に生えてくる状況となり、叢生という状態になります。
叢生に対して、小児の矯正治療では永久歯が生え揃う前に、「歯が生えるスペースを確保しましょう」と説明を受けることが多いでしょうか?
こちらでは叢生を一例としてお話しいたします。ランパセラピーを端的に表すと、「歯並びが悪くなる根本的原因から改善する」となりますが、この「歯並びが悪い」は、必ずしも叢生を指すものではありません。
「歯並びが悪い」には他にも、上顎前突・反対咬合・過蓋咬合など様々ありますが、いずれの状態であっても重要なのは、ランパセラピーが治療として適切かどうか?となります。「骨格」の改善によって、お子様ごとの歯並びの悪さが改善するのか?ですね。
叢生以外でお悩みの親御様にも、ここでのお話しは無関係ではありません。ランパセラピーでは、いずれの不正咬合であっても、歯並びが悪くなる根本的原因からの改善を目指しています。
RAMPA(ランパ)セラピーとは、歯並びが悪くなる原因の根本的な解消を目指す治療です。
一般的な矯正治療の考え方は?
ランパセラピーで考えることは「歯が生える土台から整え直そう」です。これをまずご記憶ください。
下記は矯正治療に対してよく使われるベンチの例えですが、治療自体とは分けてご理解ください。イメージを優先しています。
例えば、5人座りたい人がいるならば、5人掛けのベンチが必要です。しかし、5人座れたとしても、行儀の悪い人がいると他の人は窮屈な思いをします。
比較的症状の軽い叢生がこの状態です。行儀の悪い人に正してもらえれば5人はきちんと座れます。
「いやいや、どう見てもこのベンチは4人掛けの幅しかありません」となるとこれは困ります。
お客さん(⇒身体)からしたら、もともと「5人掛けのベンチが置けるスペースはあったはずなのに?」なのですが、なぜかそのスペースは狭くなり、(⇒ここが非常に重要です)そこに合わせて作られたベンチは4人掛けの幅しかありません。(⇒主にお口の発達の問題によって、歯が生える場所が正しく作られなかった)
座りたい人はすでにここにいます。(⇒赤ちゃんは生まれた時点で乳歯が生える準備ができています)5人掛けのベンチは必要なんですね。となると必要なのはリメイクです。
しかしです。リメイクの業者さん(⇒矯正治療)によっては「今から5人掛けは難しいかもしれません」となる可能性があります。
真っ先に思いつくのはベンチのリメイクですが、この4人掛けのベンチはそのスペースに合わせて作られたものなので、業者さんにしてみたら、「このスペースに今から5人掛けのベンチですか?」という見立てです。
スペースが足りないので、幅を拡げるにも限度があるのです。(⇒一期矯正)場所ごと拡げることはそう簡単にはできません(⇒ここも非常に重要です)ので、希望と現実が合わないんです。
さて、限界までのリメイクで5人座れればいいのですが、どうでしょうか?
まずはベンチの幅をできるだけ拡げてみます。ただちょっと窮屈かもしれません。どうしても無理そうなら座る人数を減らしてもらってもいいですか?(⇒抜歯)という判断になります。
「ちょっと待てよ、いっそ場所ごと作り直すことも可能なんじゃないか?」と考える業者さん(⇒RAMPA)もいます。
矯正治療の目的の違いに対して、小児の矯正は「お口の育成」、大人の矯正は「お口の更正」と表現されることがあります。
また、「家の新築」と「家のリフォーム」の違いのような例えがされることもあります。いずれにしても少々違和感を感じるかもしれませんね。
当院では、小児矯正の多くに必要になるのはすでに「お口の更正」、または「家のリフォーム」と考えています。「お口の育成」は赤ちゃん歯科がターゲットとする領域になります。
RAMPAの特徴
「なんとか歯が生えるスペースを確保しよう!」
抜歯こそ考えませんが、基本的にはランパセラピーも同様です。従来の矯正方法との最も大きな違いは、足りないスペースに対して二次元的に横方向だけに拡げるのか、三次元的・立体的に拡げるのかになります。
少々歯を動かし、歯並びを整える程度で済むのならばよいですが、そうはいかない場合、スペースを確保する工程はどうしても必要です。「〇〇を拡げる」がそこに当たります。
本来、歯が並ぶスペースが足りないという事態はそうあることではないんですね。多くの場合、何らかの原因で、歯が並ぶスペースを足りなくしてしまったということになります。
ここで大切なのは、「何を拡げるのか?」です。「歯列」を拡げるのか?「顎」を拡げるのか?これは非常に重要な理解になります。
歯の土台の範囲内、かつ悪影響のない範囲となると、「歯列」はそう大きくは動かせないんですね。
RAMPAでアプローチするのは直接「顎の骨」です。だから大きな変化が望めるんですね。


そもそも健全な顎へと成長させられれば、歯は自然と生え揃います。健全な成長がかなわず、歪んでしまった骨格が原因で、歯並びが乱れてしまうことが多いんです。
ランパセラピーでは一期・二期との考え方はありません。歪んでしまった骨格を根本から整え直そうとの視点から歯列矯正をみています。
「本来、拡げるべきなのは?」
つまり、一般的な矯正治療は、歯並びが悪いことへの対症療法という意味合いが強くなります。
改めて、拡大床(床矯正)や急速拡大装置は、歯列もしくは歯が生える土台を横方向に二次元的に拡大します。
不正咬合の原因を骨格的要因とした場合、かつ根本的な原因解消を目指す場合、「歪んでしまった顎骨」に対して、二次元的に拡げるこれらでは少々無理があります。
そもそも歯が並ぶスペースが足りなくなる顎骨の歪みの原因は、中顔面の骨格の劣成長なのです。

これに対して、RAMPAのシステムでは口腔外装置と組み合わせることで、三次元的に上前方へと拡大します。上前方へ牽引することで、歪みを整えるという表現がより適切かもしれません。
「なぜ上前方なのか?」それが本来あるべき骨格の正しい成長方向だからと理解してください。
「上前方への成長誘導」は非常に重要なキーワードです。これは他の矯正治療では大変困難なことです。RAMPAのシステムは、この上前方という力のベクトルを得るために考えられた構造なのです。
大きな違いを感じられる一般的な矯正とランパセラピーですが、元を辿っていくと「顎の拡大方向と効果範囲」に、その違いは現れます。
歯列のことであれ、呼吸のことであれ、それらの問題の原因は主に骨格です。その改善のために、「上前方への成長は不可欠な過程」ということになります。
歯が生えている部分だけ拡げるとは違いますね。


難しいとされていた「歪みのない健全な顎骨」への成長誘導を、この三次元的アプローチが可能としています。
このことにより「中顔面の発達不良」に起因する呼吸器系や耳鼻系の問題の改善が期待できるのです。ランパセラピーでフォーカスしているのは、歯並びよりむしろこちらです。
ランパセラピーでは、健全な呼吸機能・口腔機能への変化から、未来の健康を目指しています。歯並びはいわば副産物です。

とはいえ歯並びは?と思われる方もいますでしょう。
「芸術的な歯並び」とはまいりませんが、最終的には自然ときれいな歯並びに整いますのでご安心ください。それがヒトのそもそもの設計図にはあるのです。

こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピーの5つのポイント
- 1 舌が正しい位置に付かなくなるのは、乳幼児期からの様々な生活習慣の積み重ね。
- 2 お口の発達においての最重要ポイントは「きちんとした鼻呼吸ができること」
- 3 ある程度の年齢に達したこどもの口呼吸は、骨格的なアプローチが必要な段階にある場合も多い。
- 4 呼吸と歯並びには密接な関係があることの理解が必要。歯列矯正のみでは骨格へのアプローチは難しい。
- 5 矯正治療の目的は「歯並びを整える」でよいのか?「根本からの改善」を目指すのか?
当院では必要のない治療をおすすめすることはありません。
どの治療、どのクリニックを選ばれるかは矯正治療の入り口であり、最も大切なことです。ご選択にあたり、そのご負担は大きいところと存じますが、お子様の将来に関わることとして、今ひと時のリサーチをお願いいたします。ぜひ複数のクリニックでお話しを伺ってください。ご家庭で話し合われてください。その結果による「矯正治療に対するご判断」がご家庭ごとの最適解と当院は思います。当院から精一杯お伝えさせていただくならば、「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくございません。
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この記事を監修した人
こどもと女性の歯科クリニック
院長 岡井有子
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。2017年、港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開院。プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。

こどもと女性の歯科クリニック
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