コラム
ホーム » 子供の鼻づまりやいびきは「骨格」が原因?歯科矯正で呼吸が変わる理由
子供の鼻づまりやいびきは「骨格」が原因?
歯科矯正で呼吸が変わる理由
はじめに
なんで歯科で鼻づまりのこと?いびきのこと?かもしれませんね。しかしその関連性から、歯科的見地からでも耳鼻科領域にアプローチができるまで歯科医療は進化しています。
当院でフォーカスしている鼻腔や気道の問題と歯列の問題は、上下の顎骨が深く関わります。RAMPAが、これらに直接アプローチすることをイラストからイメージできれば、「何で?」ではないことはご理解いただけるかと思います。
一般的な矯正治療とは、上下顎骨の歯が生えている限定的な領域へのアプローチです。
矯正治療「ランパセラピー」では、顎骨を中心とした骨格を整え直すことから歯列矯正をみています。呼吸器系・耳鼻系疾患にお悩みのお子様にとっても、ランパセラピーは有効な手段となりえます。
費用を含めたご負担がご家庭にとって小さくはないことは十分理解ができます。ただ矯正治療をご検討中なのであれば、単純な価格比較ではなく、治療ごとの費用対効果を未来へのイメージからお考えください。これは私どもが判断するお話ではありませんが、RAMPAで結果を出されているご家庭からは、「先生、もっといただいた方がいい。」と半ば真剣なアドバイスをいただきます。費用の話はともかく、満足いただけてるのかなと嬉しく思います。
矯正治療から鼻腔や気道へアプローチ
いくつかの矯正治療の中には、鼻づまりやいびきといった症状の改善も見込めると記載されていることをご存じの方もいるかもしれません。ランパセラピーもその中の一つです。
「なぜ改善が見込めるのか?これらの矯正治療の違いは何なのか?」は知りたいことですよね。
そのためには、「何が鼻づまりやいびきの原因となっているのか?」を理解していただかなくてはなりません。
![]()
その前提が「本来あるべき健全な骨格であれば、それらは起こらない可能性が高い」になります。歯並びが悪くなることも同様です。
中顔面と呼ばれる領域(鼻廻りのあたり)の骨格の下方成長が、歯科・耳鼻科に関連する様々な問題の大きな要因になります。
歯並びの悪さに始まり、鼻づまりやいびきなど、これらの原因の多くがこの中顔面の発達の問題と考えられます。
そしてこの下方成長は、多くの場合、口呼吸により誘引されます。
結論からお伝えします。対処すべきはまず口呼吸ということになります。
鼻づまりやいびきの原因
「鼻がつまっていれば口呼吸」は容易に想像できますが、大きな自覚があるほど鼻がつまっていなくても、舌骨の位置などの他の要因で口呼吸になる場合が多くあります。
日常化された口呼吸は、中顔面の下方成長を導きます。この下方成長によって中顔面の骨格に歪みが生じることで、鼻腔が狭くなり、鼻もつまりやすくなってしまうのです。
![]()
ここでのお話しで違和感を感じられた方はいらっしゃいますでしょうか?
- 鼻がつまっているから口呼吸
- 口呼吸は、中顔面の下方成長を導き、骨格を歪ませる
- その結果、鼻腔が狭くなり、鼻がつまりやすくなる
ちょっとおかしな話ですね。ここでの一連の流れに該当する場合、1番目の「鼻がつまっているから口呼吸」は当てはまりません。
![]()
大切なことがあります。ある程度の年齢になったお子様の口呼吸を気にされる親御様は多くいらっしゃいますが、赤ちゃん期の口呼吸から気にされる親御様は多くはいらっしゃいません。
「あっ…」と思われた方もいらっしゃいますでしょうか。以下がより適切な流れです。
- (赤ちゃん期からでも)口呼吸は、中顔面の下方成長を導き、骨格を歪ませる
- その結果、鼻腔が狭くなり、鼻がつまりやすくなる(気道も狭くなります)
- 口呼吸が気になるようになった時には、すでに鼻がつまりやすい状況になっていた
ここで当てはまるのが「鼻がつまっているから口呼吸」となります。ではなぜ赤ちゃんの口呼吸が起こるのかについては、別コラムにありますので後ほどご覧ください。
さらに口呼吸では、必ず舌の位置が下がり、舌自体が気道を狭くさせます。これがいびきの大きな要因です。
そもそも鼻腔に問題があれば、口呼吸になるのは当然の話ですね。
2021年アメリカで、睡眠障害(いびきや睡眠時無呼吸)と学習障害や衝動的行動との、脳医学的な関連性に関する論文(概要記事)が発表されています。
抜粋:定期的にいびきをかく子供は、脳の構造変化がみられ、それが集中力の欠如、多動性、学校での学習障害など、いびきに関連する行動上の問題の原因となっている可能性がある。これはメリーランド大学医学部(UMSOM)の‥‥
実は日常的な口呼吸は、身体としては「息苦しい」となります。
無意識的に気道を拡げようとした結果、「受け口」や「姿勢が悪くなる」という症状がみえてくる場合があります。
特に赤ちゃんは「何だか受け口っぽい…」が日常的な口呼吸のサインです。
鼻はつまってないのに、なぜか口呼吸。この気付きが大切です。
まとめると…
イラストの赤矢印は中顔面の健全な成長方向です。
- 口呼吸により舌の支えがなくなることで、中顔面は下方へ成長します。その結果、上顎骨に歪みが生じ、鼻副鼻腔を狭くさせます。
- 口呼吸により下がった舌が、気道を狭くさせます。
いずれも原因は「舌が上顎につかないこと」ですね。
日常的に舌が正しい位置にきちんとあれば、中顔面の骨格はより健全に近い成長をします。これが冒頭でお伝えした「本来あるべき健全な骨格であれば、それらは起こらない可能性が高い」の理由です。
鼻づまりやいびきの改善
親御様にとっては、これらを改善するにはどうしたらいいか?が大切ですね。そしてこれは、「口呼吸を鼻呼吸に変える」とほぼ同義です。舌が上顎についていたら、当然ですが口呼吸はできないですからね。
![]()
鼻づまりやいびきの改善を視野に入れた矯正治療では、お口まわりの筋肉を整えていくことなどを目標に、トレーニングや器具を併用したりして行う治療があります。機能的矯正ともいわれます。お口の修正が可能なうちに、「機能を正して、舌をきちんと上顎につけましょう」との考えをもとに行われますが、これらには重症化の予防的な側面も強いです。
![]()
しかしです。骨格の問題が深刻となり、上顎に舌をつけるスペース自体がもう足りない、すでに鼻腔が狭くなり舌を上顎につけると鼻呼吸じゃ苦しいとなると、これらの問題を解決しないことには鼻呼吸は無理なお話しです。
当院はランパセラピー専門医院ですので、他の矯正治療の取り扱いがございません。他の矯正治療の効果に関しては、無責任にいえませんが、正しいとはいえない成長を重ね、すでに日常となってしまった「口呼吸を鼻呼吸に変える」ことは、そう簡単な道のりではないと考えています。とはいえ、矯正装置で機械的に拡げることも、手術適用の外科矯正も仕方がないとは思えないです。もちろん治療の選択権はご家庭ですが、まずはRAMPAという選択肢を知ってほしい。
耳鼻科領域に歯科的アプローチ
すでに鼻の問題が深刻であったならば、矯正治療の前に、まず耳鼻科を受診されてくださいとの記載も多いです。しかし耳鼻科へ行っても、骨格の問題であったならば先生だって困ります。
ランパセラピーでは、矯正装置の力を借りて、中顔面を上前方方向へ牽引することによって、その成長方向を変化させ、健全な骨格へと整えることで健全な口腔機能や呼吸機能を取り戻すことを目的としています。
この一文がそのまま「なぜ改善が見込めるのか?」、そして「他の矯正治療との違いは何なのか?」といえます。健全な骨格とは、中顔面が上前方へ成長した形です。その過程で必要な上前方方向への力のベクトルが得られるのが、RAMPAのメカニズムです。
骨格から矯正治療を考える。歯科的アプローチから全身領域へアプローチする。この概念が当院のランパセラピーの独自性です。
治療前検査の主な項目
難しい言葉づかいがありますが、ご容赦ください。
- 鼻副鼻腔容積・気道容積計測=呼吸時の通気性
- ANSとPNSの距離計測=口蓋のひずみ
- S-Nの距離計測(脳頭蓋底のセラ点とナジオン点の距離 ※この距離が短いほど受け口傾向です)
- ゴニアルアングル計測=下顎のひずみ
- 顔の左右差・頭蓋骨の形状確認
- 頭位・舌位・頚椎の形状確認
- 歯の萌出スペース確認
- 睡眠時無呼吸AHI計測・鼻腔通気度計測
- 3Dによる顔貌と口腔内撮影など
主な使用機材:CT・セファロ・パントモ・レイフェイス・口腔内スキャナー
※CT画像は10歳のお子様の治療前と約半年後の治療経過です。上顎が上方(実際は上前方)に成長変化しています。
ランパセラピーが、拡げたいところを機械的に拡げる治療ではないことはご理解いただけますでしょうか?ここまでは鼻づまりやいびきのお話しでしたが、これは歯並びに関しても同様です。
ランパセラピーについてまだご存じなければ、ぜひ当サイトをご活用ください。
そのうえで、鼻づまりやいびきなどの改善が見込めるとされている他の矯正治療との違いを見比べてみてください。
お子様の鼻づまりやいびきは歯科矯正で解決できるかもしれません。
ほとんどの不正咬合の原因は「上下顎の劣成長」
この劣成長は、呼吸機能の低下から、脳や体の酸素不足を招きます。今までの矯正治療では難しかった骨格の劣成長に直接アプローチするのがランパセラピーという矯正治療です。
ランパセラピーは他の矯正と何が違うのか?今まで悩んできたその答えが見つけられるかもしれません。
当院では必要のない治療をおすすめすることはありません
どの治療、どのクリニックを選ばれるかは、矯正治療の入り口であり最も大切なことです。ご選択にあたっては、お子様の将来に関わることとして、ご納得ができるまでリサーチをされてください。ぜひ、複数のクリニックでお話しを伺ってください。ご家庭でも話し合われてください。当院から精一杯お伝えさせていただくならば、「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくありません。
カテゴリー:
SNSでシェアする
この記事を監修した人
こどもと女性の歯科クリニック
院長 岡井有子
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。2017年、港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開院。プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。
こどもと女性の歯科クリニック
AM8:30〜13:00 PM14:00~18:00(最終受付 17:30)
休診日:金曜・日曜日
新着コラム


