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お口の健康について考えたい
健全に育ったお口から見える未来
はじめに
むし歯や不正咬合などの歯科的問題が、様々な弊害をもたらすとの視点で、歯科医師はホームページなどで歯科の重要性を啓発します。
しかし本当は、「こうなったらいやだなぁ。」という気持ちに訴えるのではなく、健康的なお口って「こんなにいいことなんだ。」と考えてもらいたいと思うんです。その方が健康的なモチベーションですよね。
特に日本は歯科へのハードルが高い傾向があります。診察を受けた時点で、すでに深刻な状態である方が歯科は目立ちます。今あるお悩みの解決も医療の大切な役割ですが、それが解決しましたら、ぜひ未来のために医療をご利用ください。
統計はアラインテクノロジー社による矯正治療による生活の変化の実感です。もしも矯正治療の必要がなく、健全なお口として育っていたならば、これらはご自身に当たり前の存在としてあったであろう実感ということになります。

多くの場合、お口は育てるものです。お子様が小さいうちでしたら、まだ間に合うかもしれません。
健康なお口から見える未来
赤ちゃん期から健全に育ったお口から得られる未来と、矯正治療の結果から得られる未来は、必ずしも同じものではありません。
矯正が必要にならないことがお子様にとってのベストだと思います。そのために当院では赤ちゃん歯科を設け、なるべく矯正が必要なくなるように、赤ちゃんのお口を健全の証である「まぁるい顎」に育ててあげたいと考えています。
例え、お子様が矯正治療が必要な段階だったとしても、矯正の必要のない健康的なお口って「こんなにいいことなんだ!」とお考えください。矯正治療はそこにどれだけ近づけられるか?というお話しです。
具体的にイメージしてみましょう

ご家庭の努力もあって、お子様はまぁるい顎の健全なお口に育ちました。もちろん健康的な鼻呼吸です。この先、どのような未来が見えるでしょうか?
お子様の成長が楽しみです。
まずは、歯並びですね。矯正治療の必要もなく、自然ときれいな歯並びに生え揃います。よほどのことがなければ、大人になっても矯正治療の必要はないですね。
歯並びに対してのコンプレックスもないので、大きな口を開けて笑える明るいお子さんに育ちそうです。自信もあるのでしょう、発音も明瞭でハキハキ話せます。初対面の方も概ねよい印象を持ってくれますね。
特に海外などでは、歯並びが悪いことはネガティブな評価とされてしまうことも多いようです。将来に関わることとの意味では、学業や投資とも近いものがあります。
歯磨きもしやすいので、きちんとしたケアさえできていれば、むし歯や歯周病のリスクも少ないです。予防・検診以外で歯医者に通う必要性もそう無さそうなので、時間的・身体的また経済的な負担としても少なくなりそうですね。
これは将来的な入れ歯やインプラントの可能性にも関わるお話しに繋がります。
舌もきちんと正しい位置にあり、呼吸機能も健全です。風邪も滅多にひきません。
姿勢もいいですね。鼻もつまっていませんし、いびきもかきませんので、しっかりとした睡眠もとれています。勉強や好きなことも集中してできているようです。
お顔の骨格も健全に成長していますね。歪んだり、間延びしたりすることなく、ご両親にもらったいいお顔立ちになっているはずです。
健康なお口のために
これらはすべて、健全に育ったお口から見えてくる未来です。
一方で、そうとも限らないといわれればその通りです。しかし赤ちゃんの頃からまぁるい顎に育ててあげる。それだけでこれだけのことが、より現実味を帯びた未来としてみることができます。
冒頭でお伝えしましたが「お口は育てるもの」です。本来、矯正治療とはそんなに必要なものではないのかもしれません。
とはいえです。ある研究によると、縄文時代こそ20%程度であった不正咬合の傾向がある人の割合は、弥生時代には50%程度となり、以降は数値を上下しながら現代へと続いています。近年ですと約60~70%と高い割合となっていますが、一定割合の不正咬合は遠い昔からあったらしいですね。
さて、これらの研究が直接関係するわけではありませんが、現実的にお口を上手に育てることはそう簡単にはまいりません。
まぁるい顎に育ててあげられる一つ一つの習慣は、生活の中でのことです。そのすべてに気を付けることは少々難しいお話しです。それでもちょっとずつの積み重ねでいいと思います。結果は少なからず違うはずです。
例えそれが十分に間に合わなかったとしても、ランパセラピー(矯正治療)を介して、かなりの部分を取り戻すことも可能です。
しかし、矯正治療ごとにその目的は異なります。少なくともランパセラピーでしかできないことがあるというご理解は大切になります。
RAMPA(ランパ)セラピーとは、歯並びが悪くなる原因の根本的な解消を目指し、歯がきれいに生えるような土台に整え直そうという治療になります。
ランパセラピーについて、まだ知らない方や先に知っておきたい方は、下リンクからどうぞ。
矯正治療への考えの傾向
矯正治療には、十分なお口の発達が得られなかったことに対しての補正の意味合いもあります。症状の深刻さ、各々のお悩み、そもそも治療は必要なのか?いつ、どの治療をすればいいのか?すべてはその人ごとに変わります。
治療を望まれれば、そこには治療の負担が生じます。何よりも、どこまでその補正が可能なのか?との課題はついて回ります。
可能な限りお口を健全に近い形で育て、矯正治療が必要ならば、考えうる最大限の安全を担保しつつ、「歯列を少々審美的に整える」や「噛み合わせを調整する」程度だったら親御様もいいですよね。
お口を育てることは、こういうことにも繋がります。小児の矯正には、それに近い意味合いも含まれます。
以下の統計は一つの傾向としてお考えください。下図2は矯正治療をしたいと思わなかった理由です。


※矯正治療の費用や保険適用の有無などその条件は国によって様々です。単純な比較にはならない部分もございます。
例えば、「見た目がなぁ…」は、何ででしょう?日本人としては非常に分かる気持ちです。ただしそれと天秤にかけるのは「お子様の未来」です。
矯正装置をつけた見た目に対する考え方にはお国柄もあるようですが、未来を見据え、お子様の矯正治療に取り組もうとの考えに水を差すようなものはそうあるものではないはずです。
しかしそれは、まだ小さいお子様にはなかなか難しい理解かもしれません。矯正をした未来・しない未来を比べることはできませんが、少なからずお子様の未来は変わるはずです。
当院での取り扱いはありませんが、最近では目立たないタイプのワイヤー矯正やマウスピース矯正もあります。
RAMPAの装置では、就寝時やおうち時間で装着時間を確保していただければ、学校に行っている間などは外付け装置は外してもらって大丈夫ですしね。
RAMPAの治療が進みますと、ブラケット併用のケースもありますが、通院中のお子様曰く、「RAMPAができたら、ブラケットくらい、へっちゃら!」だそうです。(最初はすごく嫌がっていたのに…(笑))


当院に限っていえば、RAMPAの外付け装置をつけながら、歩いて通院されるお子様も少なくありません。クリニックに来れば仲間もいますしね。
お子様にとっては始めてさえみれば、「見た目」はそう大きい問題ではないのかもしれません。矯正治療を好奇の目で見られることも、今はないと伺います。
ご家庭とお子様の取り組み方を拝見していますと、当院も嬉しくなります。
「お口を育てる」、そう一口に言っても、人間はまだお腹のこどもが未成熟のうちに出産しなくてはならない事情からことは始まります。赤ちゃんが最優先なのはどこのご家庭でも同じですが、生活の中となると様々なご事情もあります。
せめて可能な限りの手助け、お口のことでいえば矯正治療の可能性や負担は少なくしてあげたいものです。

こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピーの5つのポイント
- 1 舌が正しい位置に付かなくなってくるのは、乳幼児期からの様々な生活習慣の積み重ね。特に近年は赤ちゃん期の首周りの筋緊張による影響が大きい。
- 2 歯並びの問題も含め、最重要ポイントになるのが「舌が正しい位置(上顎につく位置)にあること」、もしくは「きちんとした鼻呼吸が出来ること」
- 3 ある程度の年齢に達し日常化したこどもの口呼吸を鼻呼吸に変えるには、すでに骨格的なアプローチが必要な段階になっている場合が多い。
- 4 呼吸と歯並びの問題は密接な関係にあることの理解が必要。ランパセラピーの視点から見れば歯列の矯正だけで完結する問題は決して多くはない。
- 5 矯正治療でまず考えるべき目的は「歯並びを整える」なのか?「歯がきれいに生え揃うお口に整える」なのか?
当院では必要のない治療をおすすめすることはありません。
どの治療、どのクリニックを選ばれるかは矯正治療の入り口であり、最も大切なことです。ご選択にあたり、そのご負担は大きいところと存じますが、お子様の将来に関わることとして、今ひと時のリサーチをお願いいたします。ぜひ複数のクリニックでお話しを伺ってください。ご家庭で話し合われてください。その結果による「矯正治療に対するご判断」がご家庭ごとの最適解と当院は思います。当院から精一杯お伝えさせていただくならば、「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくございません。
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この記事を監修した人
こどもと女性の歯科クリニック
院長 岡井有子
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。2017年、港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開院。プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。

こどもと女性の歯科クリニック
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