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矯正治療の必要性に関わる?
お口を育てる「赤ちゃん歯科」について知ってほしい
はじめに
「あれ?赤ちゃんの話ではないな?」と思わずに読み進めてくださいね。
当院の矯正治療「ランパセラピー」では、不正咬合の原因の多くは、中顔面といわれる鼻周りを中心とした部分の骨格的な発達不良としています。
その骨格的な発達不良に対して、矯正治療を通じて、本来あるべき成長方向への発達を促し、健全な骨格へと整えていこうというのがランパセラピーの基本の考え方です。
ここまでは矯正治療のお話しです。

骨格的な発達の問題
では骨格的な発達不良で終わらせず、「その骨格的な発達不良の原因ってなんだろう?」と考えてみましょう。
下のようなイラストはよく見かけられると思います。人類の遠い祖先からの、食生活の変化による咀嚼回数の問題も無視できるものではありません。


こどもたちの置かれている環境
より意義のあるお口の発達を考えた場合、こどもたちが置かれている環境についても目を向けねばなりません。
遡って例えれば、ドロドロベタベタの離乳食ではお口は発達は見込めません。赤ちゃん期からの「かみかみ」は非常に大切な成長の過程です。では何でそのような離乳食が普及しているのか?等のお話しは、実際のご相談時にお伝えしますね。
こどもの身体の骨格は1歳までに、その約8割が完成するといわれています。特に赤ちゃんの成長に関することは、直接お話しを伺い、赤ちゃんを拝見させていただくこと、そして親御様のご理解とご納得が必要になります。ご理解をお願いします。
その環境が導くこと
さて現代、先ほどお伝えした中顔面の骨格的な発達不良は、赤ちゃん期からの骨格が、本来望ましくないイレギュラーな筋緊張や筋肉のアンバランスなどの干渉を受けて育った影響が大きいと、当院では考えています。
これには、新生児期からの抱っこの仕方や抱っこ紐の使い方、そして離乳食など様々な生活習慣から関わります。これらが口呼吸を誘引し、中顔面の発達不良へと繋がっていきます。
具体的にいえば、様々な視点にメリットを据え普及している、赤ちゃんに関するグッズやメソッドが、必ずしも赤ちゃんの成長にはベストではない場合があるということです。
これは歯科からのお伝えだからといって、「歯」のことに関わるお伝えではありません。「お口」の健全な成長とは、身体全体に関わることなんですね。

赤ちゃん歯科
ですが赤ちゃんは非常に柔軟性があります。まだ赤ちゃんの時期ならば、口呼吸の前段階、望ましくない筋肉の緊張によって生じた受け口などは、優しくほぐしてあげることで改善できる場合も多いです。
これは、このまま成長を続けていれば歯並びが悪くなっていたかもしれない可能性を少なくするとの意味合いにもなります。
しかし、それらの生活習慣は気を付けてあげないと同じことの繰り返しです。なにより赤ちゃんには相応の負担はかかっています。
当院の赤ちゃん歯科では、親御様にまずはそれらの事柄を知っていただきたいと考えています。現代社会において、なかなか全てを叶えるのは難しいですが、知ってさえいればちょっとした場面での判断材料にはなります。
歯科としては、おしゃぶりなども決しておすすめはできませんが、お母さんはそれに助けられる場面が確かにあります。しかし知ってさえいれば、赤ちゃんのためにと頑張れる場面もありますよね。
赤ちゃん歯科は、何か特別な治療を行うための存在ではありません。食べ物や空気の入り口である鼻や口がどれほど大事なものか。そして現代、そこにどれほどの問題を抱えているのかを親御様へお伝えするための赤ちゃん歯科なのです。
赤ちゃん歯科、その目的は、お口の問題から派生しうる様々な問題の「予防」になります。
※これらに関して具体的なお話しは実際のご相談でさせていただきます。これは万一、文面によるご理解に齟齬があった場合、一番困るのは赤ちゃんとの考えによります。
呼吸の重要性
大切なことですのでお伝えいたします。
呼吸は、人間の活動において最も基本的で重要な事柄の一つです。もしその呼吸に不具合があった場合、人間の身体は何かを犠牲にしてでも、呼吸を確保しようという本能が働きます。
身近すぎて見落とされがちですが、口呼吸は立派な呼吸に関する不具合です。口呼吸をきっかけとして、気道が狭くなります。無意識に身体が気道を拡げようとした結果、姿勢が悪くなる、もしくは受け口になります。人間の身体は呼吸を確保するためなら、姿勢や歯並びは二の次と優先順位を付けるんですね。
口呼吸の弊害は、いずれ歯並びの問題を含め、顕在化してきます。
年齢に関わらず、歯並びが気になるならば、呼吸に関する意識にも目を向けられてください。口呼吸が日常となっていれば、それはすでに健全な状態とはいえません。歯並びが悪いことが、呼吸に関する不具合の結果だとしたら、「まず何を正さなくてはいけないのか?」ですね。
その裏には、呼吸に不具合があれば「これから歯並びが悪くなっていくかもしれない」との予測も成り立ちます。正しい鼻呼吸が、結果的によい歯並びに繋がってきます。
そして歯並びを悪くさせないためには「何をしなくてはならないのか?」もですね。
答えは同じです。正しい鼻呼吸が、結果的によい歯並びに繋がってきます。
その障害となる口呼吸を誘引する大きな要因が、赤ちゃん期からの生活習慣(筋肉の干渉)ということになります。
まとめ
赤ちゃんの時期から上手にお口を育ててあげられれば、将来的に矯正治療が必要なくなるか、その負担は小さいものになる可能性が高くなります。それは歯並びのことにとどまらず、こどもの健康そのものにも関わってきます。
質の良い呼吸が、質の良い生活や質の良い睡眠の基礎となります。
MFT(口腔筋機能療法)など、一部の矯正治療も同様の視点となりますが、赤ちゃん歯科はさらにその前の段階のお話しです。当院では、赤ちゃんの歯医者のスタートは、生後すぐからと考えています。
そのことを知らずにきてしまったなどで、成長が進み、ある程度骨格ができあがってしまった。そこでは、骨格的な発達不良に対してのランパセラピー(矯正治療)なんですね。
RAMPA(ランパ)セラピーとは、歯並びが悪くなる原因の根本的な解消を目指し、歯がきれいに生えるような土台に整え直そうという治療になります。
ランパセラピーについて、まだ知らない方や先に知っておきたい方は、下リンクからどうぞ。

こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピーの5つのポイント
- 1 舌が正しい位置に付かなくなってくるのは、乳幼児期からの様々な生活習慣の積み重ね。特に近年は赤ちゃん期の首周りの筋緊張による影響が大きい。
- 2 歯並びの問題も含め、最重要ポイントになるのが「舌が正しい位置(上顎につく位置)にあること」、もしくは「きちんとした鼻呼吸が出来ること」
- 3 ある程度の年齢に達し日常化したこどもの口呼吸を鼻呼吸に変えるには、すでに骨格的なアプローチが必要な段階になっている場合が多い。
- 4 呼吸と歯並びの問題は密接な関係にあることの理解が必要。ランパセラピーの視点から見れば歯列の矯正だけで完結する問題は決して多くはない。
- 5 矯正治療でまず考えるべき目的は「歯並びを整える」なのか?「歯がきれいに生え揃うお口に整える」なのか?
当院では必要のない治療をおすすめすることはありません。
どの治療、どのクリニックを選ばれるかは矯正治療の入り口であり、最も大切なことです。ご選択にあたり、そのご負担は大きいところと存じますが、お子様の将来に関わることとして、今ひと時のリサーチをお願いいたします。ぜひ複数のクリニックでお話しを伺ってください。ご家庭で話し合われてください。その結果による「矯正治療に対するご判断」がご家庭ごとの最適解と当院は思います。当院から精一杯お伝えさせていただくならば、「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくございません。
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この記事を監修した人
こどもと女性の歯科クリニック
院長 岡井有子
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。2017年、港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開院。プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。

こどもと女性の歯科クリニック
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