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赤ちゃんのまぁるい顎とV字の顎 お子様のお口はどちらに近い?
はじめに
医科・歯科に限らず予防は最も大切なことです。これは矯正治療に関しても例外ではありません。
そうなんです。よくよく考えてみたら、ある日突然歯並びが悪くなるわけでも、何でだか歯並びが悪くなるわけでもないんですね。必ず原因があります。だったらその原因は、出来ることなら取り返しのつかないことになる前に対処するのがベストです。それにはすでに赤ちゃん期、さらに言うならば胎児期からの成長が関わってきます。
まぁるい顎とV字の顎
資料をご覧ください。
左側のまぁるい顎が理想的に育った顎です。右側のV字のような三角形に近い形の顎は少々問題を抱えて成長している顎です。これは将来的に矯正治療が必要になる可能性を示すサインの一つになります。
「まぁるく育つ」「V字に育つ」はたまたまの現象ではありません。お口は育てるものとなります。
当院でもサポートいたします。お子様のお口がまぁるく育つよう、二人三脚でまいりましょう。
※赤ちゃんの写真と口内写真は関係ありません。
一番上の抱っこの写真は、まぁるい顎や三角形の顎に育つ過程の一例です。下の写真では「歯がきれいに揃いそう」や「歯並び悪くなりそう」は一目瞭然ですね。
理想的なお口を育てるには、赤ちゃんの時期からの抱っこの仕方やハイハイの仕方、抱っこ紐の使い方、授乳の仕方、離乳食など多くの事から関わってきます。
しかし、これらは生活の中でのお話しです。「すべてに気を付けてください。」もなかなか難しいですよね。ですが知っておけば気を付けられる場面があると思います。
歯科は「歯のことだけ」は、一昔前のお話しです。これらはお口の健康を通して、身体全体を見据えたことだと、ぜひ頭の片隅に置かれてください。
抱っこ紐の使い方から
こちらでは「抱っこ紐の使い方から導かれること」についてお話しいたします。今一度先ほどの資料をご確認ください。
まず結論としてお伝えしたいことが、右側の写真にあるような抱っこ紐の使い方です。頸が後ろに垂れて、ちょうどママの顔を見上げる形でしょうか?ママとしてはこどもと目も合い、可愛いですよね。とても分かります。
でも、これは歯科的には非常によくない姿勢です。
「あれ?でもこれって…」と思いませんか?そう、日常よく見る光景です。
抱っこ紐の商品紹介などでも見かけますが、私は商品より赤ちゃんの姿勢が気になって仕方がありません。お母さんたちはなおさらこの姿勢に違和感を感じないですよね。これでいいんだと言われているようなものです。
日々の生活によっては、赤ちゃんはかなりの時間をこの体勢で過ごします。このまま寝てしまうことも多いですよね。
さて、大人の方、電球を変えるなどで上を向かなくてはいけない作業の経験はありますでしょうか?たった10分でも、ずっとその姿勢でいたら首が痛くなります。筋肉の凝り、緊張という状態です。実は赤ちゃんも一緒なんですね。首が痛くて泣いてしまうことだってあります。
そこで下のイラストをご覧ください。
舌骨という骨があります。この骨、身体の中で唯一、どの骨とも触れていません。すべて筋肉によって支えられています。舌骨と肩から延びる筋肉も繋がっているのがお分かりでしょうか?
先述の首周りの筋緊張は、舌骨を下へと引っ張ります。その結果、舌骨は下がり、それにつられて下顎や舌も引っ張られて下がります。
その結果が「口呼吸」となります。
冒頭の資料であった「V字(三角形)の顎」は、口呼吸になっているこどもの典型的な顎の形です。
とはいえ「一日の内でもそんなに長い時間抱っこ紐を使ってないよ。」とのご理解は少々語弊があります。こちらでは抱っこ紐の使い方を一例としましたが、口呼吸を導いてしまう様々な生活習慣の一つ一つが問題のもとになります。
抱っこ紐一つをとっても、例え保育園の送り迎えの間の30分といえど、赤ちゃんの習慣としては、れっきとした積み重ねになります。
鼻呼吸がきちんと出来ている方でも、単に上を向くだけで舌が上顎から離れやすくなっていることにお気付きになりますでしょうか?これは口呼吸になりやすい状況ということになります。
口呼吸とはつまり、イラストで示す「舌圧」の力が弱くなってることになります。V字の顎になってしまうイメージも出来ますでしょうか?
口呼吸から考えられること
例えまだ赤ちゃんであっても、例外にはなりません。口呼吸、つまり舌があるべき位置(上顎につく位置)にないことで起こるのが、中顔面部分(鼻廻りのあたり)の下方成長となります。
この力に対抗し、下から支えているのが、本来は上顎についているはずの「舌」なんですね。
本来であれば、この上顎についた舌は中顔面を上前方という健全な方向へ向かわせる大切な役割があります。そして歯並びにとって大切な唇側からの筋肉の力とのバランスを取る役割もあります。
しかし、この対抗する力がないことで下方成長は進み、上顎骨が歪みはじめ、不正咬合や鼻腔の狭小化へと繋がっていきます。お顔立ちも縦に伸びる方向に成長は進みます。ガミースマイルはその分かりやすい例です。
さて、ここまできてしまいますと、骨格はすでにある程度固まってきます。鼻の通りも悪くなり、舌もさらに上顎につきにくいお口の環境となってきます。こうなってしまうと、舌を上顎につければいいとの話ではなくなってしまいます。
困りますよね。どうにかしてこの骨格を整え直して、鼻呼吸がきちんとできるように出来ないものでしょうか?
ここから先は矯正治療「ランパセラピー」でお伝えしていることへと繋がっていきます。
RAMPA(ランパ)セラピーとは歯並びが悪くなる原因の根本的な解消を目指し、歯がきれいに生えるような土台に整え直そうという治療になります。
当サイト内では治療に関する記述では「ランパセラピー」、器具・システムに関する記述では「RAMPA」と表記しております。
ランパセラピーについて、まだ知らない方や先に知っておきたい方は下リンクからどうぞ。
まとめ
まぁるい顎と三角形の顎、この二つはいずれも日々の生活習慣の積み重ねによって出来上がった一つの結果です。それらの個々の結果から導かれるのが、歯列の問題であり呼吸の問題です。
もしも、赤ちゃんのうちから理想的なお口を手に入れられたとしたならば、それは後々手に入れていたかもしれない矯正治療の結果よりも「一生もの」です。
こちらでは、抱っこ紐を一例としてお話ししましたが、理想的なまぁるい顎も問題のある三角形の顎も、様々な生活習慣の結果です。
もし首に支えのないタイプの抱っこ紐をお使いでしたら、首を支えるオプション品などは使ってあげてください。それぞれのご事情もあるでしょうが、当院ではスリングタイプの抱っこ紐をおすすめしています。
まだ柔軟性のある赤ちゃんの時期ならば、対処の仕方はあるかもしれません。
重要キーワードは「口呼吸」。そして、それを導く「首周りの筋緊張」です。
こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピーの5つのポイント
- 1 舌が正しい位置に付かなくなってくるのは、主に赤ちゃん時代からの様々な生活習慣の積み重ね。特に近年は赤ちゃんの首周りの筋緊張による影響が大きい。
- 2 歯並びの問題も含め、最重要ポイントになるのが「舌が正しい位置(上顎につく位置)にあること」、もしくは「きちんとした鼻呼吸が出来ること」
- 3 ある程度の年齢に達し日常化したこどもの口呼吸を鼻呼吸に変えるには、すでに骨格的なアプローチが必要な段階になっている場合が多い。
- 4 呼吸と歯並びの問題は密接な関係にあることの理解が必要。ランパセラピーの視点から見れば歯列の矯正だけで完結する問題は決して多くはない。
- 5 矯正治療でまず考えるべき目的は「歯並びを整える」なのか?「歯がきれいに生え揃うお口に整える」なのか?
当院では必要のない治療をおすすめすることはありません。
当院・他院に限らず、ホームページ等で記載がされている、「〇〇の原因」や「〇〇を改善するためには?」などは最終的に一つの答えに収束するものではありません。クリニックごとの考えの優先度・重要度などにより記載が異なってまいります。実際には患者様それぞれに答えはいくつもございます。
どの治療、どのクリニックを選ばれるかは矯正治療の入り口であり、最も大切なことです。ご選択にあたり、ご家庭の負担は大きいところと存じますが、お子様の将来に関わることとして今ひと時のリサーチをお願いいたします。その結果による「矯正治療に対するご判断」がご家庭ごとの答えと存じます。当院から精一杯お伝えさせていただくならば「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくございません。
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この記事を監修した人
こどもと女性の歯科クリニック
院長 岡井有子
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。2017年、港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開院。プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。
こどもと女性の歯科クリニック
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