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おすすめの矯正治療ってあるの?
小児矯正の種類
はじめに
多くの治療法・商品名が散見され、矯正治療をご検討の方には、その違いを理解されるのも大きなご負担ですね。
しかしご家庭やお子様ごとに事情は変わります。単純に「これがいいな」と選べるものでもありません。
検討するポイントは「どの治療がいい・悪い」ではなく「どの治療が適切なのか」が大切です。一括りに「おすすめ」と呼べる治療はありません。
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「まだそんなに悪いわけでもないのに負担の大きい治療は…」とのお気持ちもよく分かります。ただその「まだそんなに悪くない」が大切です。
お子様のお口は、良くも悪くも成長していきます。そこに保護者の方のご判断による「様子見」は大きな意味を持ちません。ある程度の知識を得ましたら、早目のご相談をおすすめいたします。
矯正治療の経験を持つ大人の方からは「もっと早いうちにやっておけばよかった…」とのお話しはよく伺います。ご相談されたからといって、矯正をする義務はありませんので、どうかお気軽に。
ワイヤー矯正
ブラケット矯正・裏側矯正・舌側矯正などの呼び方でいわれることもあります。
いわゆる一般的な矯正治療ですね。見た目に抵抗がある方に向けて、目立たないタイプや歯の裏側に装着できるタイプもあります。多様な不正咬合に対応が可能ですが、基本的に装置の取り外しはできません。ワイヤーの力で歯を少しずつ移動させていきます。
お子様の一期矯正の次の段階、二期矯正は主にこのタイプです。ワイヤーを付ける位置によって裏側矯正・舌側矯正などの呼び方となります。
ワイヤー矯正にもいくつか種類があり、それぞれに特徴が異なります。
マウスピース矯正
具体的な商品名は控えますが数種類あります。
近年、マウスピース型の矯正治療が増えてきたことで、勘違いをされる方が多いのですが、実は以前からあり、最新の発想の治療ではありません。
痛みが少ないことや比較的安価とされることなどから、ご負担が軽くなり、矯正治療に対するハードルは低くなります。一方で矯正治療に対するハードルが低くなったのは、歯科医師に関しても同様です。
しかしその構造上、不得手とする症例もあります。特にマウスピース矯正をご希望される方に多い傾向の考え方ですが、すべての方にマウスピース矯正が適切なわけではないことは改めてご留意ください。
ハードルが低いからこそ、「本当にこれで希望が叶うのか」と振り返り、十分なリサーチとご相談を重ねることが大切です。トラブルが多いのもこのタイプの矯正治療です。
小児矯正は、お子様のこの先何十年を見据えた健康資産のための治療です。費用や見た目は最優先すべきことではないと思います。
多くのマウスピース型の装置による小児矯正では、お口のトレーニングも必要です。取り外しができることもあり、自己管理がより必要になります。お子様や親御様の頑張りが大切です。
マウスピース矯正にもいくつか種類があり、それぞれに特徴が異なります。
主に「顎を拡げる・顎を育てる」がキーワードとなっている矯正治療
床矯正
拡大床といわれる装置を使用して行います。小児の一期矯正で使用されることが多いですね。「永久歯が生えるスペースが足りない」と予想されるときに使われます。
あえてこちらで記載しましたが、非常に大切なことがあります。床矯正で拡げるのは「顎」ではなく、基本的に「歯列」です。これは必ずご記憶ください。「顎が小さい」からと「顎を拡げる」という治療ではありません。ドクターからこのようなお話しをもらったら、齟齬を生まないように、必ずご確認ください。
MFT(口腔筋機能療法)
治療というよりはお口のトレーニングといった理解の方が分かりやすいですね。舌やそしゃく筋などのお口を取り巻く筋肉の機能を改善し、正しいお口の環境に整えようとの考え方に基づきます。予防的な側面が強くなることと、お子様自身のトレーニングの必要性があることはご留意ください。
(装置を使用しない)機能的矯正や予防的矯正といわれることもあります。MFTとは異なりますが、装置を使用する機能的矯正もあります。
※機能的矯正:装置による器械的な力ではなく、噛む力などを装置を介して、矯正力に変える矯正治療
顎顔面矯正
急速拡大装置といわれる装置を使用して行います。口蓋(上顎の天井部分)の正中口蓋縫合(口蓋中心の前後のライン)と呼ばれる部分を装置で離開して、上顎のスペースを拡げようというのが、基本の考え方です。
※名称は似ていますが、顎顔面口腔育成療法とは異なる治療です。
顎顔面口腔育成療法(バイオブロックセラピー・ランパセラピー)
バイオブロックセラピーとランパセラピーでは使用する装置や期間などが異なりますが、矯正装置と人の成長力を利用して、お口まわりの骨格を健全な形に整えようというのが、基本の考え方です。
※名称は似ていますが、顎顔面矯正とは異なる治療です。
RAMPAと一般的な矯正治療との違い
歯並びが悪くなるのには原因があります。RAMPAでは、その原因と考える骨格にアプローチをします。骨格を整えたのちに、歯列を整える過程へと移行します。
RAMPAの役割の中心は歯列ではなく、歯がきちんと生えてこられるように「土台を整える」ということなんですね。ポイントは、
- 原因(骨格の発達の問題)にアプローチをするのか?
- いま目に見えている症状(歯並びの悪さ)にアプローチをするのか?
となります。
RAMPAの主目的は骨格の成長不良によって導かれた諸症状の改善です。この諸症状の中に「歯並びが悪い」も含まれるとのお話しなんですね。審美を主目的とされるならば、RAMPAは必ずしもご希望を叶えられる治療ではないかもしれません。
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当院として、RAMPAでお伝えしていることに当てはまるお子様たちの未来を考えたとき、原因が骨格にあるとの推測がありながら、歯列を整えるために行う矯正治療のご提案はできませんことは何卒ご理解ください。無論、RAMPAを押し付けるようなこともいたしません。ぜひお考えになられてみてください。
治療の詳細については下リンクをはじめ、他コラムもご覧ください。
ほとんどの不正咬合の原因は「上下顎の劣成長」
この劣成長は、呼吸機能の低下から、脳や体の酸素不足を招きます。今までの矯正治療では難しかった骨格の劣成長に直接アプローチするのがランパセラピーという矯正治療です。
まとめ
当院は矯正治療においては、顎顔面口腔育成療法の専門医院です。
他の矯正治療については、ご紹介程度にとどめ、それらのメリット・デメリット等の詳細はお伝えを控えます。顎顔面口腔育成療法以外の矯正で気になる治療がございましたら、取り扱いのあるクリニックに直接お問い合わせください。
当院が扱っていない治療について、無責任なお伝えはできませんので、お手数かとは存じますが何卒ご理解ください。
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諸々のサイトで見かけられるメリット・デメリットとは、広く一般的なものである場合がほとんどです。もちろんそれらのご理解も大切です。
しかし矯正治療においては、患者様それぞれに事情は異なります。実際にはそれを行う歯科医師の考え方によるところも小さくありません。相性というものもあります。
術式も大事ですが、術者はそれ以上に大事な部分です。
矯正治療についてお悩みの方が、本当に知りたいメリット・デメリットとは、ここにあるのではないかと思います。
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よくいわれるように矯正治療は一生ものです。
親御様におかれましては、今ひと時の手間を惜しまず、多くのリサーチやご相談を重ね、ご納得の結論で矯正治療法やそれを任せたいと考えられるクリニックをご選択ください。
こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピーの5つのポイント
- 1 舌が正しい位置に付かなくなるのは、乳幼児期からの様々な生活習慣の積み重ね。
- 2 お口の発達においての最重要ポイントは「きちんとした鼻呼吸ができること」
- 3 ある程度の年齢に達したこどもの口呼吸は、骨格的なアプローチが必要な段階にある場合も多い。
- 4 呼吸と歯並びには密接な関係があることの理解が必要。歯列矯正のみでは骨格へのアプローチは難しい。
- 5 矯正治療の目的は「歯並びを整える」でよいのか?「根本からの改善」を目指すのか?
当院では必要のない治療をおすすめすることはありません。
どの治療、どのクリニックを選ばれるかは矯正治療の入り口であり、最も大切なことです。ご選択にあたり、そのご負担は大きいところと存じますが、お子様の将来に関わることとして、今ひと時のリサーチをお願いいたします。ぜひ複数のクリニックでお話しを伺ってください。ご家庭で話し合われてください。その結果による「矯正治療に対するご判断」がご家庭ごとの最適解と当院は思います。当院から精一杯お伝えさせていただくならば、「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくございません。
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この記事を監修した人
こどもと女性の歯科クリニック
院長 岡井有子
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。2017年、港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開院。プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。
こどもと女性の歯科クリニック
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