コラム

小児矯正って必要な治療?そこには歯科医師ごとの考えや方針があります

はじめに

歯並びが悪いことで困ることって何でしょうか?

  • 食事がしにくくなる
  • 発音がしにくくなる
  • むし歯や歯周病になりやすい
  • 外見上のコンプレックスになる

などが、一般的にいわれています。もし矯正治療によって、これらのお悩みが改善され、かつ継続的に維持ができましたら、十分に大きな意義があるのではないかと思いますが、親御様としてはどうお感じになられるでしょうか?

目次

    こどもの矯正の目的

    矯正治療自体が必要かどうか?に関しては、もちろんお子様によります。一度、検査やご相談をされてみてください。その結果と親御様の考えが近い場合には、お子様の矯正治療を現実的に「必要」もしくは「不必要」と考えられてよいかと思います。

    小児矯正が必要かどうか?の意図が、「大人になってからの矯正ではダメなの?」となりますと、その答えはお子様の状況、歯科医師や親御様の考えなどによっても変わります。

    矯正治療というものを、それぞれの視点から様々な角度で見ているとお考えください。正解は一つ、それ以外は不正解というものではありません。

    いずれにしても歯科での検査や相談を経てない、親御様のご判断は「バイアス」ともなりかねません。

    後々「こどものうちからやっておけばよかった。」との思いをするよりは、今からご相談をされ、矯正治療の是非を含め歯科と共有されることがよいと思いますがいかがでしょうか?大切なのは親御様やお子様にとって信頼ができる歯科医院を見つけられることです。

    少なくとも「小児矯正は必要ない」の言葉は、すべてのこどもに当てはまる言葉ではありません。親御様の想いを大切にされてください。

    とはいえ私どもは医療です。医療人としての考えは率直にお伝えいたします。ご納得いただけるかどうかは別のお話しですが、患者様にとってベストと思われるご提案はさせていただきます。そこにビジネス的な感覚はございません。

    補足をいたします。小児矯正や成人矯正との言葉がありますが、これらは年齢によって分けられるわけではありません。歯科的には永久歯が生え揃った時点で「大人のお口」とされます。一般的に小児の矯正とは、永久歯が生え揃う前の矯正治療を指します。

    小児矯正12

    すでにお子様本人が見た目を気にしている場合もあれば、お子様の将来的な見た目を考え小児矯正を検討中の親御様もいらっしゃいます。

    どうしても「矯正」=「外見」との理解があるかもしれません。もちろん外見的な歯並びは大切なことです。歯並びが悪いだけで内向的になってしまうことや、人から一方的なイメージを持たれてしまうこともあります。

    噛み合わせが悪いことで胃腸に負担がかかったり、発音が不明瞭なことがイジメのきっかけになったりもします。将来、むし歯や歯周病でかなりの負担をされるかもしれません。

    これらに対して、「ちゃんと食事もできてるし、発音もしっかりしてる。」や「むし歯?ちゃんと歯磨きしてるよ。」「見た目は特に気にしてない。」となれば、高い費用かける意味あるの?となりますね。

    少々厳しいお話しになりますが、お子様の将来に関わることです、何卒ご容赦ください。それらはきちんと背景のあるお話しなのか?今一度思い返されてみてください。

    お子様はきちんと咀嚼して食事ができていますでしょうか?噛み合わせが悪く、ある程度の咀嚼しかできないのに飲み込んでいたり、水で流し込んだりはありませんでしょうか?

    むし歯の仕組みや予防の理解は足りていますでしょうか?むし歯予防は歯磨きしてれば大丈夫では少々心許ないお話しです。またお子様本人は見た目を気にされてはいませんでしょうか?

    様々なご理解の上で成り立っているお考えでしたら、私どもがお話しすることは差し出がましいことかもしれません。ご容赦ください。

    矯正経験を持つ大人の方からは「もっと早くからやっていればよかった。」とのお話し、特に小児矯正の経験を持つ親御様からは「小さい時に矯正をさせてくれて親には本当に感謝している。」とのお話しも伺います。

    確かに矯正治療は今すぐ生命に関わる治療ではありませんし、矯正治療の主な目的となるQOLは人の感じ方にもよっても変わります。

    傾向から考える

    グラフ同士の直接の比較はできませんので、傾向としてご覧ください。

    下図アラインテクノロジー社の調査では、62.3%の親御様がお子様の歯並びに関して良くないと感じているようです。

    小児矯正1
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    円グラフは外国人の方から見た日本人の歯並びの印象に関する一つの統計です。「どちらでもない」の捉え方が難しいですが、少なくとも96ポイントの方々は「よいとはいえない」とみられているようですね。日本人が感じていることと外国人が感じていることでは随分と差があるようです。

    さて、下の円グラフには大切なことが隠れています。現代の日本人の約6割~7割の方は何らかの不正咬合の傾向があるといわれています。

    しかしここでは、実際に小児矯正を受けられるお子様は約2割と示されています。あまりに差が大きいと感じられませんでしょうか?大人になってから矯正をされる方は、小児矯正よりさらに少ない傾向にあります。

    小児矯正5

    意識が低い?必ずしもそうではないようです。5割以上の方が小児矯正に関して何らかのアクションを起こしていらっしゃいます。

    一方で、必要性を感じる感じないは別にしても、一定割合の方が放置をされています。

    必要そうなのは分かっているけれど、「費用がかかる」「大変そう」「あとでもいいかな?」などでしょうか?

    なかなか踏ん切りがつかず今まできてしまったご家庭も多いのではないでしょうか?

    RAMPAについて知ってほしい

    もし親御様が矯正治療に持たれる知識の中に「ランパセラピーという存在はなかった」でしたら、ぜひこの機会に当院の存在と合わせ、知っていただきたいと考えています。

    ランパセラピーは、歯並びが悪くなる根本的な原因(中顔面の発達不良)の解消を目指す矯正治療です。そして原因を同じくする呼吸器や耳鼻の疾患の改善も視野に入れています。

    同様の概要で記載されている矯正治療もありますが、あとからで結構です、どうぞ見比べてみてください。

    RAMPA(ランパ)セラピーとは歯並びが悪くなる原因の根本的な解消を目指し、歯がきれいに生えるような土台に整え直そうという治療になります。

    当サイト内では治療に関する記述では「ランパセラピー」、器具・システムに関する記述では「RAMPA」と表記しております。

    ランパセラピーについて、まだ知らない方や先に知っておきたい方は下リンクからどうぞ。

    多くの方にとっては、「ランパセラピー?聞いたことがないな?」ですね。

    推測にはなりますが、下のアンケート結果の回答の一番上「健康面」の考えの中にランパセラピーの存在は含まれていないと思います。それでも多くの親御様が、見た目と同様にお子様の健康面を考えられているようですね。

    むし歯のことでしょうか?噛み合わせのことでしょうか?その健康面が具体的に何を指したものなのかは分かりかねますが、ランパセラピーで目指すものは、おそらくそのさらに先にあります。

    小児矯正7

    お子様の歯並びにお悩みの親御様、もしもそれが骨格的な原因からくるものでしたら、実際にいびきや喘息、慢性的な鼻づまりや中耳炎、姿勢が悪いなどの症状に繋がっている場合も少なくありません。

    それらがもとで、イマイチ集中力がない、何となく元気がない、引っ込み思案になってしまうなど、「人と人との関わり」のお悩みにまで関わってくることもあります。

    身体が健康だと心も元気なものです。人は心の持ちようでいかようにも変われます。外見的な歯並びももちろん、その一端にはあります。しかし何よりもこどもたちには身体から元気であってほしいと思います。

    ただしこれらに対して、あれも治る、これも治るとのご理解ですと語弊があります。少々見方を変えてください。

    ランパセラピーの治療目標「中顔面の骨格的な発達不良を改善する」は、他の矯正治療では大変難しいことです。この発達不良は様々なことと相関関係にあります。問題の根っこから改善することによって、様々なことが好転するきっかけとなるのです。

    嬉しいことに、ランパセラピーを始めて「人と話せるようになった」「挨拶できるようになった」というお声も親御様よりいただきました。

    これも治療自体の直接的な効果というよりは、私たち大人が思う以上に「こどもたちは何かつらいもの」を抱えていたのかもしれないですね。そして私たち大人はそれを抱えながら大人になり、いつしかそれをしまい込んでいたのかもしれません。

    特に呼吸のことなどはランパセラピーをスタートして初めて、「実は今まで苦しい中で生活していたんだ。」と治療以前との呼吸の違いを実感されるお子様が多くいらっしゃいます。

    ランパセラピーは30年ほど前までは存在しなかった治療法です。こどもたちにはランパセラピーを通して、まだまだ長い、今後の人生をより健康的に笑顔で過ごしてほしいと願っています。

    まとめ

    小児矯正はした方がいいのか?に関して、疑問を持たれたすべてのご家庭に対し、一概にはいえないのは確かです。

    しかし、実際に矯正を考えているということであれば、こどものうちから行った方がよいと思います。また現実的に矯正の必要性まで感じられているならば、しなくてもよい理由をお伝えするのもなかなか難しいことです。

    小児の矯正には永久歯が生えるための準備の意味合いがあります。よりよい結果のために、できる準備はするに越したことはないですよね。

    これは適切な治療であれば、ランパセラピーに限ったことではありません。大きくなってから矯正を始めるより負担が少ない場合が多いですし、その分歯並びで悩む期間も少なくなりますからね。

    海外の歯科先進国といわれる国々では、矯正治療はこどもの将来に対して、費用対効果が高い行いとの考えが一般的です。倣う必要はありませんが、この考えは日本的にいうと「後悔、先に立たず」ともいえます。

    ランパセラピーは大人の方でも対象外とはなりませんが、骨格に柔軟性のある小児の時期がより適切です。

    一つお伝えできるのは、実際に親御様がお子様の矯正治療の必要性を感じられたならば、ランパセラピーが必要で適切な小児矯正治療である可能性は低くはありません。

    「歯並びが悪い」ことは骨格的な発達の問題のサインであるのかもしれませんので。

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    こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピーの5つのポイント

    • 1 舌が正しい位置に付かなくなってくるのは、主に赤ちゃん時代からの様々な生活習慣の積み重ね。特に近年は赤ちゃんの首周りの筋緊張による影響が大きい。
    • 2 歯並びの問題も含め、最重要ポイントになるのが「舌が正しい位置(上顎につく位置)にあること」、もしくは「きちんとした鼻呼吸が出来ること」
    • 3 ある程度の年齢に達し日常化したこどもの口呼吸を鼻呼吸に変えるには、すでに骨格的なアプローチが必要な段階になっている場合が多い。
    • 4 呼吸と歯並びの問題は密接な関係にあることの理解が必要。ランパセラピーの視点から見れば歯列の矯正だけで完結する問題は決して多くはない。
    • 5 矯正治療でまず考えるべき目的は「歯並びを整える」なのか?「歯がきれいに生え揃うお口に整える」なのか?

    当院では必要のない治療をおすすめすることはありません。

    当院・他院に限らず、ホームページ等で記載がされている、「〇〇の原因」や「〇〇を改善するためには?」などは最終的に一つの答えに収束するものではありません。クリニックごとの考えの優先度・重要度などにより記載が異なってまいります。実際には患者様それぞれに答えはいくつもございます。

    どの治療、どのクリニックを選ばれるかは矯正治療の入り口であり、最も大切なことです。ご選択にあたり、ご家庭の負担は大きいところと存じますが、お子様の将来に関わることとして今ひと時のリサーチをお願いいたします。その結果による「矯正治療に対するご判断」がご家庭ごとの答えと存じます。当院から精一杯お伝えさせていただくならば「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくございません。

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    この記事を監修した人
    こどもと女性の歯科クリニック
    院長 岡井有子

    看護師として京都市内の産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。2017年、港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開院。プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。

    こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピー

    こどもと女性の歯科クリニック

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    休診日:金曜・日曜日

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