コラム

赤ちゃんの受け口を様子見するリスク|0歳デビューが呼吸と歯並びを守る「歯が生える前が大切」

0歳の口呼吸から始まる悪循環「きっかけは姿勢の悪さ」|赤ちゃん歯科で矯正リスクを最小限に「今から始める」

こどもと女性の歯科クリニックでは、「赤ちゃん歯科」を設けています。

いつから通っていただいても早すぎることはありません

当院では、マタニティ期のママさんや生後2週間からの赤ちゃんもいらっしゃいます。赤ちゃん歯科の具体的な目的は、「矯正治療が必要にならないための予防」になります。

数年後、お子様に矯正治療が必要になるかどうかは、この時期の成長が大きく関わります。

パターン②

大切なお子様が生まれてきてくれました。しかし、人間の赤ちゃんは、まだ成長が不十分な段階で出産を迎えなくてはならない事情があります。

全てはこれからです。矯正治療が必要のないお口に育ててあげてください。「赤ちゃん歯科」がお手伝いいたします。

多くの動物の赤ちゃんは、生まれてしばらくで歩き始めます。一方で、ヒトは生後1年前後は歩けない動物です。野生動物には野生動物の事情があり、ヒトにはそれを必要としない環境もあります。

ヒトがもし生まれてすぐ歩くのならば、2歳児くらいの身体の成熟が必要といわれていますが、二足歩行のヒトの骨盤の仕組み上、その大きさまでお腹にいたら自然分娩が無理なんですね。そこでヒトはまだ未熟なうちに出産という道を辿りました。

生まれてからの成長のために、司令塔である「脳」を最優先にお腹の赤ちゃんは成長していきます。だから赤ちゃんって頭が大きいんです。

生まれてからの準備が足りない中で、赤ちゃんは生まれてきてくれています。動物だったら母親のお腹の中でできた準備を、人間の赤ちゃんは生まれてからもしなくてはならないんですね。

目次

    赤ちゃんの歯医者っていつから?

    「赤ちゃんの歯」に注目すると、歯医者デビューの時期は、生後6か月頃からとお考えの親御様や歯科医師がいらっしゃいます。この場合は、むし歯や予防に重心を置いていることが多いです。しかし「赤ちゃんの顎の成長」に注目した場合は異なります。

    当院の答えでは「今から」です。

    こどもの矯正とランパセラピー

    歯が生えてくるのを待つ必要はありません。赤ちゃんのお口の「これから」にできることは、いつからでもあります。

    赤ちゃんは、1歳までの過ごし方が大切です。赤ちゃんの歯医者は歯が生えてからと考えていますと、そのうちの約半分の期間は自己流となりかねません。

    子どもの成長はそれぞれのペースこそあれ、止まることはありません。将来、お子様に矯正治療が必要にならないようにできることからはじめてみてください。

    お口の成長の大半は、日々の生活習慣の積み重ねによります。例え、結果的に矯正治療が必要になったとしても、その負担は何もしないよりは軽くなる可能性が高いです。親御様の行いが無駄になることはありません。

    親御様が気になる赤ちゃんのお口の異変、その一つが赤ちゃんの「受け口」です。そしてこう受け取ってください。これはまだおしゃべりができない赤ちゃんからの「SOSサイン」です。

    受け口(反対咬合)とは?

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    反対咬合は、気道が狭い状態に対して、身体が無意識的に下顎を前に出し、呼吸を楽にしようとすることから起こることがあります。

    意識的に受け口にして、口呼吸を試してみてください。受け口にした時の気道の拡がりを感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

    スポーツのテレビ中継で選手が苦しくなった時、「顎が出てきましたね」と解説されることがあります。これはこういうことなんですね。空気をより多く体に取り入れたいと身体が無意識的に対応をしています。

    赤ちゃんも同じです。気道が狭く息苦しい状況に対して、無意識的に下顎を前に出して受け口になることがあります。

    原因は、舌が下がっていること、つまり「口呼吸」です。

    なぜ口呼吸は息苦しい?

    一旦、通気性や通気量の問題は置いておきます。全く同じ量の空気を吸ったとしても、鼻呼吸と口呼吸では、身体に取り込む酸素量が変わります。


    酸素摂取効率の差:鼻呼吸は「約10〜20%」高い

    鼻呼吸は口呼吸に比べて、動脈血中の酸素分圧を約10〜20%上昇させるという研究があります。これらは、主に一酸化窒素の有無と、肺でのガス交換効率(気道抵抗)という2つの側面から明確な差があります。


    • 「一酸化窒素(NO)」

    鼻呼吸が、酸素摂取に有利な最大の理由は、副鼻腔で産生される一酸化窒素にあります。

    メカニズム:鼻から息を吸うと、副鼻腔で発生した一酸化窒素が肺へ運ばれます。一酸化窒素には血管拡張作用があるので、肺の毛細血管が広がり、酸素が血液中へ移動する効率(ガス交換効率)が向上します。

    口から吸った空気には一酸化窒素が含まれないため、肺の血管が十分に広がらず、同じ量の空気を吸い込んでも、血液に取り込まれる酸素量は少なくなります。


    • 「気道抵抗」

    鼻腔は口よりも狭いため、呼吸の際に適度な抵抗が生まれます。これが実は重要です。

    メカニズム:抵抗があることで、呼気(吐く息)のスピードが抑えられ、肺の中に空気が留まる時間が長くなります。これにより、肺胞で酸素を吸収する時間が確保されます。

    口呼吸では抵抗が少なすぎるため、空気の出し入れが早くなり、「浅い呼吸」になりがちです。結果として、肺の下部まで空気が届かず、酸素摂取効率が低下します。


    鼻を通ることで初めて、効率よく酸素が全身へ届きます。

    身体が酸欠を察知…より多く空気を吸いたいと口を開けても、口呼吸では気道が狭くなっていますので、取り入れられる空気量は比例しません。だから受け口にしたり、姿勢を悪くしたりして少しでも気道を開けようとする。酸欠の身体の応急処置です。でも結局は、口呼吸である限り、悪循環からは抜け出せないんです。そんな矛盾が「口呼吸」では起こっています。

    例えばこんな状況

    こちらはマラソン選手を考えると理解しやすいかもしれません。選手たちは鍛えられたアスリートですので自分のペースならば鼻からの呼吸でレースを走れますが、勝負所などではペースアップをします。

    鼻からの呼吸量では足りず、口が開いてきますが、口呼吸は気道を狭くしてしまうので、取り入れられる空気量は比例しません。「もっと空気が欲しい」。そこで「下顎を前に出して」気道を拡げようとします。「顎が出てきましたね」という解説を耳にされたことはないでしょうか?

    ですが、大概こういう状況は選手の正念場で、バテてしまう手前。深く効率のよい呼吸って訳にはいかなくなってくるんですね。

    口呼吸=結局酸素不足

    鼻呼吸の方がいいと分かっていても、息苦しくなると口が開いてしまう。なぜでしょうか?

    鼻の穴は口に比べて小さく、空気を取り込む際の抵抗が大きくなります。鼻の通りが悪かったり、運動などによって多くの酸素が必要になったりすると、脳は「効率的な呼吸=鼻呼吸」よりも、「手っ取り早く、量を吸える口呼吸」を選んでしまいます。

    身体としても、鼻呼吸の方がいいのは分かっているのに、「楽に吸える口呼吸」を優先してしまうんです。でも口呼吸は効率が悪い。息苦しいというサインは、結局口呼吸を選ばせてしまうんですね。悪循環であり、矛盾です。だからなかなか治らない。

    そして、ここが人間らしいところ。使わない機能は退化してしまいます。口呼吸がデフォルト設定になってしまうと、鼻呼吸で必要な機能は低下していき、さらに鼻呼吸がしづらい身体に書き換えられてしまうんです。これを改善するとなると、鼻呼吸ができる環境を整え直し、再度設定を上書きしなくてはいけないんですね。

    どうしようもない口呼吸

    アスリートの口呼吸は、運動負荷との兼ね合い。落ち着いてくれば、元に戻ります。それでも、日常的にこのような状況に置かれるアスリートは、歯科的には案外受け口(反対咬合)の方が多いです。

    ランパセラピーで治療対象にしているのは、骨格的問題にまで進行してしまった「どうしようもない口呼吸と歯並びの悪さ」の根本的解決。直接的に骨格にアプローチして、可能な限り健全な骨格を取り戻すことを治療目標にしています。その結果として、呼吸機能の改善や歯並びの改善が期待できます。

    その骨格的問題の原因はやっぱり「口呼吸(舌が上顎につかないこと)」。つまり、きっかけはどうあれ、日常的な口呼吸はいつしか骨格のネガティブな変化を引き起こし、このネガティブな変化を改善しない限り、そう簡単には治らない口呼吸へと質を変えてしまうのです。

    では赤ちゃんは?

    骨格的問題までは発展していないかもしれませんが、この骨格の問題の背景にあるのはヒトの身体に常にかかっている力、「重力」です。のんびりはできません。赤ちゃんの骨格は成長期で柔軟性があり、良くも悪くも影響を受けやすい。そして子どもの骨格の基礎は1歳までにその多くができあがります。

    骨格の話が現実的になる前に、赤ちゃんなりに「どうしようもない口呼吸」の原因があります。

    それは赤ちゃんなりの姿勢の悪さ

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    頭に荷物をのせて歩くアフリカの女性たちをご覧になったことがあると思います。このような女性たちは大体歯並びと姿勢が大変きれいです。このような状態で全身のバランスを保つことができるのは、姿勢がよく、骨格や筋肉が正しく発達している証。そして美しい歯並びの基礎なんですね。

    赤ちゃんの姿勢

    では、例えば赤ちゃんのこの姿勢です。親御様は、自分が同じような姿勢を30分強いられる状況をイメージされてみてください。考えただけで、首が痛くなります。

    赤ちゃんだって一緒です。首や肩のコリという状態。筋肉の過緊張です。

    ではこの状況で何が起こっているのかというと‥

    こどもの矯正とランパセラピー

    注目は「肩甲舌骨筋」と「舌骨」です。イラストでは示されていませんが、舌骨は、舌や下顎とも別の筋肉を介して繋がっています。舌骨は全て筋肉によって支えられ、その位置を保っています。

    では、姿勢が悪くなり、肩甲舌骨筋の過緊張が起こるとどうなるか?そう、舌骨を下方へ引っ張ります。となると、舌骨は別の筋肉を介して、舌と下顎を下へ引っ張ります。上顎に舌がつかなくなると、下がった舌が気道を圧迫し息苦しい。花火大会で多くの人が「お口ポカン」になる原因です。

    抱っこ紐はあくまで一例。赤ちゃんなりの姿勢の悪さは、舌骨の位置を下げてしまう、正しい成長を阻害する筋肉の過緊張として現れます。赤ちゃんは素直です。口呼吸は息苦しいとなると、気道を拡げようと無意識的に「受け口(反対咬合)」にします。それでも、口呼吸は鼻呼吸よりも息苦しい。身体はもっと空気が欲しいと口呼吸が日常化します。

    この後に起こりうる展開が、舌が上顎につかない(口呼吸)ことによる「上顎(中顔面)の下方成長」。つまり「骨格な原因(鼻腔が狭くなる)によるそう簡単には治らない口呼吸」の始まりです。ここに関わってくるのが「重力」です。上顎を舌で支えてあげないと、重力に対抗できません。

    赤ちゃんの「受け口」はその入り口に立ち始めている「赤ちゃんからのSOS」の可能性なんですね。

    そして大事なこと。このメカニズムは赤ちゃんに限ったお話しではありません。ゲーム、勉強、テレビを見る、日常の姿勢の悪さは子どもの骨格にも同様のことが起こりえます。この場合、受け口よりは、さらなる姿勢の悪さとなって現れる場合が多い。一見、区別がつきません。つまりこうなります。

    • 日常的な姿勢の悪さ→舌骨の位置を下げ、口呼吸→上顎が下がり、骨格的原因による口呼吸へ変化(鼻副鼻腔の狭小化)→息苦しいからさらに姿勢を悪くして気道を拡げようとする

    こうなると親御様の「お口は閉じなさい」は、お子様にとっては「無理‥」となります。

    この骨格の問題が、歯並び悪化の原因にもなります。呼吸の問題も歯列の問題も、同じ骨格の問題。でも歯並びだけなら矯正治療で何とかできる。


    ここに骨格からアプローチするのが「ランパセラピー」。骨格の問題をなるべく最小限に抑えられるよう、お口を育てる取り組みが「赤ちゃん歯科」です。この取り組みが、赤ちゃんの数年先の矯正治療が必要になるリスクを下げます。

     

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    まとめ:お口を育てること(口育)の重要性

    本格的な矯正治療が必要になる前に、お口を育てようとの考えによる矯正治療がいくつかあります。

    当院でお伝えしているのは、さらに前の段階、赤ちゃんの時期からお口を育てていこうというお話しになり、「治療」とは少々ニュアンスが異なります。「口育/こういく」という言葉で表現されます。

    矯正治療になりますと、お子様や親御様のご負担も増えてきます。できることならば、矯正治療をしないに越したことはありませんよね。せめて、なるべく負担の小さいようにと考えるのが親心です。

    歯並びが悪くなってしまうのは主に骨格的な要因です。その骨格的な要因は、主に赤ちゃんの時期からの生活習慣によります。

    歯医者に来られるのに、赤ちゃんの歯が生えていないことは気にされなくて大丈夫です。全ては今からです。「早めの歯医者デビュー」が赤ちゃんの将来を支えます。

    歯医者デビューと一緒に歯磨きも

    赤ちゃん歯科

    いきなり歯磨きデビューといっても、赤ちゃんはお口に異物を入れられることを嫌がる場合が多いです。

    本格的に赤ちゃんの歯磨きを始める前に、まずは歯ブラシに慣れるという意味でも、当院ではお口のマッサージから始めています。

    これは「なるべく矯正が必要とならないように、お口を上手に育てよう」という当院の理念にも繋がってきます。赤ちゃんの身体に無用な筋肉の過緊張は、正しい成長を阻害してしまうかもしれません。

    親御様が気になる赤ちゃんの歯磨きは、「むし歯予防」ですよね。矯正治療が必要なくなることも「むし歯予防」です。むしろ、歯並びがガタガタであったら、いくら歯磨きをしても「磨いたつもり」になってしまう可能性が高いです。

    お子様の正しい顎の成長とむし歯予防は、「赤ちゃん歯科」でお手伝いします。

    最後に…

    赤ちゃんの歯の始まり、「歯の芽」ともいわれますが、乳歯の歯胚は妊娠7週目頃からでき始めます。ママのお腹で成長を積み重ね、生まれるころにはすでに乳歯は生える準備が整っています。永久歯でさえ、すでにこの頃から形作られるんです。

    生える準備は整っているのですから、きちんと生えてこられるように、実際に生え始めるまでにお口を成長させてあげなくてはいけませんね。

    生える場所が足りないではかわいそうですもんね。

    赤ちゃん歯科(口育)とは本来、矯正治療より大切なことです。しかし、保護者の方のご理解・ご判断だけでの対応はなさらないでください。もしもそのご理解に齟齬がありますと、なにより赤ちゃんが困ります。ご相談時に、実践を交えてお伝えいたします。

    BABY&Lab

    赤ちゃんセミナーの内容を配信サイト用に編集。赤ちゃんセミナーを追体験しながら、ご家庭で実践できる動画サイトとしてご紹介します。BABY&Labは、赤ちゃんと共にこれから育てていくサイト。まだ生まれたばかりです。(要会員登録)

    情報提供:こどもと女性の歯科クリニック

    制作運営:spinnerbait

    こどもと女性の歯科クリニックロゴ

    顎の骨格の劣成長は、呼吸機能の低下から、脳や身体の酸素不足を招きます。ランパセラピーは他の矯正と何が違うのか?今まで悩んでいた小児矯正に関する疑問。ランパセラピーの中に、その答えが見つけられるかもしれません。

    治療法とクリニックの選択は、矯正治療の入り口であり、最も大切なことです。必ずご納得ができるまでリサーチをされてください。当院から精一杯お伝えさせていただくならば、「ランパセラピーが必要」と感じられるお子様は少なくありません。

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    運営者情報

    この記事を監修した人
    こどもと女性の歯科クリニック
    院長 岡井有子

    看護師として京都府内産婦人科等勤務を経て、大阪歯科大学に入学。大阪歯科大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。歯学博士。

    2017年東京都港区麻布十番にランパセラピー専門医院「こどもと女性の歯科クリニック」開院。

    2024年「医療法人社団セントワ」開設。同法人理事長就任。

    日本小児歯科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・日本ダウン症学会所属。
    RAMPA研究会・赤ちゃん歯科ネットワーク所属。

    2025年European Conference on Dentistry and Oral Health(パリ)、MENA Congress for Rare Diseases(アブダビ)などにおいて、ランパセラピー学会発表。

    プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。

    こどもの矯正とRAMPA(ランパ)セラピー

    こどもと女性の歯科クリニック

    AM8:30〜13:00 PM14:00~18:00(最終受付 17:30)
    休診日:金曜・日曜日

    〒106-0046 東京都港区元麻布1-4-27-101
    TEL:03-6435-2281

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